スペシャルインタビュー
「選手のプレイしたい気持ちと身体の痛みに向き合うとき」
〔プロフィール〕千葉大学医学部整形外科大学院卒業。医学博士、日本整形外科学会専門医 日本整形外科学会スポーツ専門医/脊椎脊髄病専門医、日本体育協会公認スポーツドクター、千葉県サッカー協会 正会員・スポーツ医学委員会副委員長。
千葉県を中心に、スポーツ整形外科医として多くの選手と向き合っている土屋敢先生。
2006年~2008年には、北京オリンピックサッカー男子日本代表のチームドクターも務めた経験もあり、選手の将来を考え、親身になって治療する姿勢に、多くの選手が信頼を寄せ、県内各地から集まってきます。
試合に勝ちたい、痛いけど何とか出場したいとの想いから隠してしまう選手も多い中、子どもたちの身体と心に寄り添うためにできることとは?
土屋先生にじっくりとお話をうかがいました。
学生時代に千葉県の学校でサッカーの選手としてプレイしていた経験があり、現在はスポーツ整形外科医として千葉県内の高校の指導者や強豪校のコーチ・トレーナーと日々やり取りをしながら、小学校から高校までの育成年代のスポーツに伴った外傷や障害に困っている選手の治療にあたっています。
北京オリンピックの日本代表(U23)に携わったのも、高校のときを知っている先生方から、国体のチームドクターをやってくれないかというオファーをいただき、その延長線上でのことでした。そのときに代表だったのが本田圭佑や長友佑都、内田篤人など、今はA代表であり、海外でも活躍している選手たちで、彼らから学ぶことも多かったです。
印象的だったのは、活躍していた選手は当時から自己管理がしっかりできていたこと。ケガと向き合ってきちんと対応し、ケガをしないように予防的な処置も徹底していました。それができない子はなかなか先につながるような選手になるのは難しいのかなと思っています。ですので、普段の診察の場でも本人や、小学生や中学生の場合は親御さんにもセルフケアについては話をするようにしています。
私自身、選手の気持ちも分かるし、悩むときもあるのですが、一つの目安にしているのが、今置かれている状況でどれだけ一生懸命やりたい時期なのかを見極めることですね。
例えば、高校3年生と高校1年生では治療方針も変わってくると思うんです。3年生で引退まで残り数か月であれば、目いっぱいやらせてあげるべきでしょうし、1年生であればまだ先があるので、それに見合った治療を考えていきます。一つの疾患であっても様々なオプションを持ちながら、選手それぞれにベストな状態を作れたらと思っています。
選手がケガをした場合に、監督やコーチングスタッフには直接ケガの現状を伝えて、治療内容やケアについて話すようにしています。そうしないと選手の中には、試合に勝ちたい、痛いけど何とか出場したいという想いから隠してしまうことも多いんです。
隠してしまうことで、痛みが引かず、最終的には100%のトップパフォーマンスができないままなので、長い意味で考えると決して良いことではありません。ですので、必ず選手にもケガの状況を指導者に伝えなさいと言っていますし、私からも話しをすることで、慢性化しないように努めています。
部活の指導者だけでなく、養護教諭の先生方も選手のケガに接する機会が多いと思います。現在、色々な形で大学生や現場の養護教諭の先生方に講義をすることがあるのですが、みなさん非常に熱心に聞いてくれて、スポーツ傷害とはかなり必要性の高い話なのかなと再認識することができました。
今回のDVDでは、保健室や部活動で是非知っておいてほしい膝のスポーツ外傷と障害について解説しています。
少しでも現場で活かしていただければ、それが我々の診療の手助けになります。最終的にいい方向に治療が進んで、もとのようにプレイできるように持っていければいいなと思っています。
▼インタビューの全編はこちら
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